先日、知り合いの塾経営者からこんな話を聞きました。

この春、地域で最難関の公立高校に合格し卒塾したAさんが、夏からまた通いたいと言って塾に来たそうです。聞けば、学校は勉強するのも自由、勉強しないで遊ぶのも自由とのことで、完全に自主性に任されているそうです。Aさんは非常に勉強ができたものの、自分で勉強することは出来ず、塾でやらされたことだけをこなし偏差値も70をかるく超えていたそうです。ところが、高校生になり塾に通わなくなると勉強のやり方も全くわからず、学校も勉強をさせない環境であることから全く勉強しなくなりました。夏休みに塾に来た時には、あれほど優秀だったAさんが中学英語も忘れてしまっていたそうです。

一方、この春に偏差値はそれほど高くないにもかかわらず、厳しい指導で進学実績が抜群の私立高校に進学したBくんも塾にやってきたそうです。学校の勉強についていけないとの話だったそうです。Bくんは将来医者になろうという夢があり、厳しい指導も覚悟のうえで選んだ高校でした。ところが、想像以上に勉強が厳しく(毎日8時間授業で放課後も7時まで勉強、部活はもちろんできない)、すでにクラスで10名近く不登校になっているとのことです。

あまりに両極端な話ですが、実はどちらもよくある話です。上記の塾経営者はご自身の進路指導のミスだと、非常に反省していましたが、私もAさんについては最適な指導だったとは思いません。(Bくんはなんとか頑張ってほしいです。)通常、公立高校は上位校であっても比較的自由で自主性に任されています。勉強しないならしないですむ環境です。悪くいえば放置です。一方、勉強の厳しい私立高校はゴールデンウィークや夏休みもまともにはなく、毎日遅くまで勉強させる学校も多いようです。授業時間が多いうえに、宿題も多く、生徒たちは常に顔色が悪いという学校もあります。もちろん、公立高校なみに自由な私立高校もあります。

私はどちらの高校が良いということではなく、生徒にあった高校を選ぶべきだと思います。厳しくされないとダメな生徒がいるのも事実ですし、その逆もしかりです。公立高校はともかく、私立高校は学校によって、カラーが全く異なります。保護者の皆様には、学力や偏差値、地理的要件、授業料だけでなくお子様の性格と高校の教育目標が合致するのかも考えて高校選びをされることを希望します。