やはりというべきか当然というべきか、2020年度より国が私立高校の授業料実質無償化の制度を導入したことにより、入試に大きな影響がでています。下の表をご覧ください。

これは兵庫県の公立高校の定員充足率になります。非常にわかりやすい結果で、学区改編後最低の数字になっています。つまり、定員を満たすことができない公立高校が増えたということです。

・伊川谷北高校   86.1%

・西宮甲山高校  92.9%

・宝塚西高校   95.0%

・明石北高校  97.1%

・高砂南高校   83.5%

などはかなりまずい結果だと思います。明石北高校は明石市のトップ校です。この理由は明らかに私立に流れたということでしょう。明石北や宝塚西、あるいは伊川谷北などの中堅校はおそらく私立進学校に生徒を奪われたということかと思われます。

兵庫県の阪神地域(神戸市灘区・東灘区・中央区・須磨区および西区の一部)、芦屋市、西宮市、宝塚市は全国的にも首都圏とならぶ私学志向の強い地域です。中学受験率も非常に高く、教育関心も非常に高い地域です。公立高校入試においては、非常にめずらしい複数志願制をしてまで、無理やり公立に引っ張らないといけないほどの私学志向の強さです。

しかも、兵庫県の場合は国の就学支援金に補助金を上乗せする措置があり非常にめぐまれています。

私立高等学校等生徒授業料軽減補助制度

このような地域で私学の無償化を行った場合は、大きな影響がでるものと予想されていました。また反対に、過去に大阪府は公立志向があまりにも強く、私立高校の実質無償化を導入いたしました。ところが大阪の方はそれでも公立が良いらしくあまり効果がありませんでした。ただ、兵庫県でも予想されたほど私立流れは起らなかったようです。理由として考えられているのは、以下のようなものです。

・そもそも制度の告知が十分ではなかった

・中学受験せずに公立中学に進学している生徒さんは、もともと公立志向で私立に魅力を感じていない。

・就学支援金で全て賄えるわけではなく、これ以外にお金がかかる

ただし、全体としては

・公立高校志望者は有利になることはあっても不利になることはない。公立高校

 合格のチャンスが広がった

・私立高校志望者は学費の面で公立との差は小さくなり、選択肢が広がった

となり、皆様にとっては良いことではないでしょうか。