今春の4月に毎日のように色々な高校の先生の当塾への来訪が続きました。生徒が受験したのでそのお礼のためと、進学実績が過去最高であったことのアピールのためでした。
そのような状況下で今年、阪神地域の塾・学校関係者を驚かせたのが
六甲アイランド高校 関西学院大学合格者60名(延べ人数)
西宮南高校 近畿大学合格者49名(延べ人数)
【関関同立現役進学率】
1位 葺合37.6% 2位 池田34.9% 3位 箕面34.9% 4位 西宮東34.1% 5位 春日丘33.3% 6位 国際33.3% 7位 寝屋川33.0% 8位 御影31.3%
といった進学実績に関するデータでした。六甲アイランド高校はレベルが高い旧神戸第一学区とはいえ下から2番目の高校です。偏差値の53程度ですから以前であれば関学の合格はほぼありえないレベルです。西宮南は、これまでであれば進学者は下位の大学か専門学校という状況でした。
関関同立の現役進学率に至っては、1位~10位まですべて公立の地域2番手あるいは3・4番手の高校です。地域のトップ高がもう少し下の順位になっています。かつてはこれも、公立トップ高と私立中高一貫校が上位を占めていました。
国公立大と関関同立、早慶GMARCHなどのいわゆる難関大学の合計進学者の卒業生に対する割合も偏差値60程度の公立中堅校で50%に達することもあります。上記の葺合は国公立大学への進学者は少々少ないものの国公立と難関私大合計で51.5%にもなります。県立西宮高校で卒業生316名中142名が国公立か関関同立などに現役で進学しています。以前であれば偏差値60程度の公立高校からであれば25%かせいぜい30%程度でした。公立トップ高でようやく50%を超える状況でした。今春の市立西宮高校は卒業生304名中国公立と関関同立で合計224名73.6%も現役で進学しています。
つまり、大学入試は確実に競争緩和されています。2018年から大学の入学定員厳格化により一時的にやや大学入試の易化は止まりましたが、現在はそれにも関わらず再び競争緩和が進んでいます。しかも、現在の大学入試は一般入試は少数派で推薦入試が主流です。一般入試の定員を減らすことで、なんとか偏差値を保っているのが実情です。それでも関西学院大学は多くの学部で偏差値が50を少し上回る程度といった状態です。関関同立の下の産近甲龍レベルでは偏差値40台が目立ちますし、その下の神戸学院などでは偏差値30台も目立ちます(偏差値は河合塾のものですので中学時代より10程度は下がります)。
ですから、以前は非常に厳しい中学入試や大学入試よりも、高校入試で難関大学の附属校に入るのがお得とお伝えしてきましたが、上記の状況を考えると、関西学院高等部などは明らかに大学から入るより難しいといえます。同様に関西大学第一高校、関西大学高等部、近畿大学付属なども高校のほうが難しいかもしれません。一方で、関大北陽や啓明学院、育英西の立命館コース、などはまだまだ高校から入学するほうが難度は低いと思われます。いずれにせよ中学受験が一番厳しいことには変わりはありませんが。
大学入試の競争緩和が高校入試にも影響を与えそうです。これだけ大学入試の競争緩和が進んでいる状況ですから、高校入学後に伸びる可能性を信じて大学附属校ではなく進学校を選ぶ選択が増えるかもしれません。
※塾や予備校、高校は大学入試が易しくなっていることは絶対に言いません し、認めることもありません。塾や予備校ではそれを認めると自分たちのビジネスが成立しなくなりますし、高校は自分たちの指導により進学実績をあげていることを主張したいからです。多くのマスコミもこの主張にそっています。実態は数字のみでご判断下さい。