中学生の期末テストが終了し、一部返却が始まっているようです。
先テストどうやった?」とお聞きしたところ「悪かった・・・」とシュンとされていました。私は問題も確認しましたし平均点も他の生徒さんより聞いていましたので、点数を聞いたときに「よく頑張ったね。」と言ったのですが・・・。こういうことは中1生には特によくあることで、小学校の時のテストは基本的にみんな100点が取れるようになっています。その感覚が抜けていませんので、中1生にとって70点でもとんでもなく悪い点数に思えるかもしれません。特に現行の教科書になってからは、新中1の最初の英語のテストでも平均点が50点台であったりと差がつく状況になっています。保護者の皆様の時代には中1の最初のテストはアルファベットやbe動詞くらいで100点続出、平均点は80点を超えるようなテストであったと思います。現在は中1のL1でbe動詞と一般動詞、その疑問文と否定文が出てきます。新出単語も200語近くになります。ぜひ、テストの点数で叱るときは、成績表で平均点と度数分布を確認してからにしてあげて下さい。もちろん、テストの結果ではなく取り組みの過程について指導、教育されるはよろしいかと思います。
実は、上記のようなことは中1生だけではありません。これも先日中3生がテストをもってきたので、私は過去の成績から「過去最高だね!すごいね」と褒めたところ本人は、なぜ褒められるのかがわかっていない様子でした。保護者のみでなく生徒もやはり素点で判断されるということでしょう。もちろん、正論を言えば「点数は理解度を表すので、50点なら半分しか理解できていないということ。」も言えるかもしれません。そうであれば、「平均点は関係ない」となります。しかしながら、問題の難易度に影響されないのはトップ層のみです。保護者の皆様に一度問題を確認していただければ、おそらく驚かれると思います。現在と保護者の皆様が中学生だったころとは学力観が異なり、問題の問われ方が全く異なることがお分かりになると思います。もちろん、現在と20年~30年前で学力そのものは変わっていませんし(よく言われる学力低下は起こっておりません)、英語を除いては学習内容が難しくなっているようなことも基本的にはありません。現在の指導要領にのっとった問題では、高得点は非常に取りにくくなっています。単純に知識を問う問題は少なく思考・考察を要求する問題が多いからです。20年前くらいまでは、5教科合計で480点を超える生徒はごろごろいましたが、現在は度数分布を見ていただければお分かりのように、分布がかなり下の方に固まっているかと思います。
以前、当塾の近隣の中学のテストの平均点が低いので(私は低いとは思いませんでしたが)、保護者の方が中学のレベルが低いのではないか、きちんと授業ができているのか(授業が荒れていないか)とご相談に来られました。もちろん、当塾の近隣の中学はレベルが高く、平均点が低いのはむしろレベルが高いが故に先生が作問に苦労されているからだ、とご説明させていただきました。一般にレベルが高い地域の中学の問題は当然のごとく問題の難易度があがります。
ですから、お子様がテストをもって帰ってきて点数を見せられたときに、すぐに叱るのはグッとこらえていただく方がよいかと思います。ぜひ、成績表で平均点と度数分布を確認してからにしてあげて下さい。結果ではなく取り組みの過程についてお叱りになるのはこれとは別の問題ですが。