今春、高校に入学した生徒からも多く聞かれたのですが、学校でリクルートの「スタディサプリ」を導入している割合がさらに増加しているようです。すでに、全国の高校の40%以上が導入しているようです。リクルートは、東進衛星予備校や河合塾マナビスなどの映像系の塾・予備校が年間100万円を超える高額な設定をしているなかで、月額980円(当時、現在は2,178円)で2011年に市場に参入してきました。参入してきた当初の塾・予備校業界の反応は、すぐにリクルートは撤退するだろうと冷ややかなものでした。実際に大赤字を出し続け、存続が危ぶまれたようですが、高校に販売を始め、その後塾にも販売を始めたことから、急激に業績を回復させたようです。
しかしながら、スタサプで勉強し高校や大学に合格したという声を聞くことはほぼないと思います。実際に40%の高校で導入されていても実際に有効に活用している生徒は10%にも満たないようです。つまり、せいぜい全体の4%+個人利用+塾での利用者かと思われます。
コンテンツ自体は従来型の純粋な映像授業で東進衛星予備校や河合塾マナビスほどの超一流講師をそろえているわけではありませんが、十分良質と言えるものです。(中学生や小学生のものは良いとは言いがたいものも多いですが。)英語の関先生や現代文の柳生先生など受験生ならみんな知っている講師も増えてきました。しっかり勉強すれば、かなり効果があると思います。
ではなぜ「スタサプ」を高校生は使用しないのか。それは映像授業の特性によるものです。映像授業の特性は以下の3点です。
・自分一人で誰にも見られていないところで、主体的に学習することは非常に難しい。日程や時間まで決められて、しかも誰かに見られている環境でないと難しい(めんどくさい?)
・「見てるだけ」「眺めているだけ」にならないように確認テストやスタッフのサポートは必須
・いつでもどこでも何度でも視聴できることは則ち見ないということ
もちろん、スタディサプリには生徒を管理するための、教員が生徒の受講状況や確認テストの合否をチェックする機能はあります。しかし、実際のところチェック機能は非常にあまく、生徒が映像を流して他のことをしていても視聴したことになりますし、確認テストも何度か答えるうちに、内容は全く理解してなくとも正解が分かるようなものです。しかも、学校の教師が自分が担当する生徒を仮に100名として、全員分を確認するはずがないと思います。
つまり、学校で「スタサプ」を導入している生徒は、非常にもったいないけれど有効利用は難しいだろうと思います。当塾の塾生であれば、塾で視聴するなど工夫をしてみて下さい。
なお、日時や場所も決めて、なおかつ誰かが監視する環境で勉強する状態であっても「映像授業は自分には合わない」という生徒は、それは合わないのではなくもっと他に重大な問題があるように思います。