例年、この時期は高校1年生からの問い合わせが多くなります。そのほとんどが、「高校の数学が分からない。」「中間テストで欠点をとってしまった。」などというものです。高校の数学は中学までの数学に比べ格段に難しくなりますので、こういう生徒さんが多いのも自然なことです。ところが、よくよく聞いてみると、どう考えても大学受験で数学を必要としない生徒です。現在、高校生の70%は文系です。国公立大学に進学できるのは20%程度。つまり約半数の大学進学希望者は入試で数学や理科を必要としない私立文系です。もちろん、上位の高校ほど理系の比率は高くなりますし、国公立志向も強くなります。西宮の高校でいえば、県立西宮高校が例年国公立大学の合格者が50名~100名程度ですので、数学を使う生徒がある程度いるのではないかと推察されますが、鳴尾高校になると国公立大学の合格者は例年30名程度ですので、理系以外はほとんど私立文系という状況かと思われます。
私立文系は英語・国語・社会1科目での受験が一般的で、中堅以下の大学は2教科や1教科の入試という大学もあります。上位の大学でも慶応大学はほとんどの学部で、1教科か2教科の入試ですし、同志社や立命館、関学でも1教科入試が行われています。(1教科入試は必然的に偏差値が高くなります。)
しかしながら、個人的には大学入試で数学を必要としないという入試制度には大反対です。せめて、私立文系でも英語・国語・数学ⅠAくらいは必須にしてほしいと思います。英国社の受験は理系科目がなく、暗記要素の強い教科も多く、あまりにバランスが悪いと思います。将来ビジネスにおいて必要となるのは明らかに数学だと思います。就活の際に採用段階で実施している企業が多い適性検査のSPIなどのスコアも世間の印象とは異なり、関関同立などの難関私大よりも地方の国立大学の学生の方が平均的に高いスコアを出すようです。5教科を必要とする国立大と英国社3教科の私立文系では難易度の比較は難しいですが、私の指導経験から考えれば、関大や関学あたりと国立大学で最も入り易い大学の一つとされる富山大学・高知大学あたりでほぼ同じくらいの学力の生徒が進学している印象です。ところが世間的にはそうではなく、就職においても同様で、大都市にある難関私大が地方国立大よりも有利なようです。OBの数や就職活動のし易さ、なども影響していると思います。関東においては、関西では考えられないことですが神戸大は早稲田や慶応より格下の扱いのようです。
つまり、私個人的には私立文系の英国社での受験には反対ですが、生徒の皆さんが将来的に有利になることを考えると、どうしても国公立に行きたい生徒以外は、さっさと数学と理科を捨ててしまって、ついでに社会も1科目以外を捨てて勉強することが得策と言えます。ただし、近年は私立大学の入試は推薦入試が主流になっています。推薦入試などで評定平均が必要とされる入試を考えている場合は、全教科全科目の高1の1学期から高3の1学期終了までの学校の成績は必要となりますのでご注意下さい。
※当然ではありますが、学力が高く神戸大以上の国立大学や大阪公立大学などに進学できる学力があるのであれば、国公立大学に進学が良いと思います。
※上記の内容は全て文系の話です。理系の特に工学部などに進学希望の場合は、できれば国立大学に進学されることをお勧めします。
※公立大学は3教科あるいは4教科の大学も多い(神戸市外国語大学も3or4教科、奈良県立大3教科など)