3カ月にもおよぶ休校期間がおわり、ようやく学校が再開されました。前例のないことで、学習塾各社のこの期間の対応は大きくわかれました。完全に休校とされた塾もありましたが、多くの塾で行われたのが「オンライン授業」です。

オンライン授業とは本来は、PCで学習するeラーニング(キャラクターが教えてくれるソフトなどです)や衛星予備校などのような映像授業などは含まず、会議ソフトなどを使用し双方向のコミュニケーションがとれる授業形態のことをいいます。通常の授業と同じことをオンラインで行うのが本来のオンライン授業のはずですが、多くの塾が録画していた映像授業を配信しているだけ、下手すると自社の講師の授業ではなく業者から購入した映像授業を使用させているだけでオンラインと表記するようになりました。単なる映像授業であれば現在は限りなく0円に近づいています。映像授業やPCで学習するe-ラーニングまでもオンラインと表記されると、顧客の側は優良誤認しかねないと思います。

その本来の双方向オンライン授業ですが、評判はどうでしょうか。実はほとんどの塾では、過去に例がないほどクレームが殺到していたそうです。(当塾ではありがたいことに、ご理解いただいた方が多く、クレームはありませんでした)クレームの内容は、音声が聞きづらく(遅れて聞こえてくる)であるとか、講師がノートを見ることができないので、わからないのに先に進んでしまったといったものもありますが、多くは「対面授業の対価を払っているので、授業の劣化による分を返金してほしい」というものだったそうです。保護者の側には、オンライン授業への理解は非常に低く、映像授業と思っておられる保護者が非常に多かったようです。

オンライン授業は、集団指導はまだ問題なくできるようですが(集団指導は生徒の理解度に関係なく授業を進めることができるため)、個別指導が非常にやりにくいようです。個別指導は生徒のノートを見ながら、生徒の表情をも読み取りながら授業を進めます。そこで本来は1:2の個別指導塾も1:1にして質の低下を防ぐといった対応をとっていたようです。そのことで、時間を半分にし、またまたクレームがあったとのことですが・・・

オンライン授業は現状では保護者の要求に対応するとすれば、1:1にして授業時間もそのままということになります。そうなると、非常に高額な授業料(1対2の授業料の2.5倍程度)はいただかないと採算があわないということになります。この料金にご納得いただける保護者の方はあまりおられないと思います。

つまり、オンライン授業は現状ではあくまで緊急時の対応にすぎないということかもしれません。休校により授業が全く行えないよりは、オンラインでもやったほうがいいとは思います。ただし、オンライン指導が非常に有効なケースもあります。

1.地方の受験生が東大生に指導してもらいたい

2.時間がとれない生徒が夜中や日曜に指導を受けたい

3.オンライン自習室

などではないでしょうか。1などは北海道では札幌以外の居住の生徒が、どうしても北大生に教わりたいというニーズが非常に多いそうです。3については私も非常に可能性を感じます。わざわざ外出することなく、自習室の緊張感と誰かに監視してもらう、またわからないところは質問するということが可能だからです。一度、当塾でも検討したいと思っています。