新しい学習指導要領にもとづいて今春の4月より教科書が改訂されます。これまで、文部科学省は「変える変える」とはいうものの、どんどんトーンダウンしていき最終的にはマイナーチェンジということを繰り返してきました。最近では、本日行われている大学入学共通テストで
・複数回の実施⇒結局1回だけでセンター試験と変わらず
・英語の4技能(読む・書く・聞く・話す)の能力をはかるため英検などの外部の検定試験を利用⇒地方の受験生が困る?と中止
・記述式問題の導入⇒ベネッセに委託していたがベネッセと癒着を疑われ?中止
・英語の配点をリーディング100点リスニング100点に⇒大学ごとに決めるため、ほとんどの大学は1:4の圧倒的リーディング重視の配点を選択
と共通テストに限定してもこれだけ改革できない状況でした。今回の教科書改訂も、どうせマイナーチェンジだろうと私も思っていました。ところが今回中1の英語の教科書を確認したところ、これまでとは全く違い大きな変化でした。私は教育産業に携わって28年、これだけ大きな変更は初めてです。
・小学校で学習したことが習得したこととして扱われている
これまで、小学校の英語はいわば「慣れ親しむ」ことを目的とし、簡単な会話を中心に学習するものでした。書くことや文法としての理解は要求されす、通知表の評価でもそのようになっていました。ですから、中1の教科書はアルファベットから始まりbe動詞を学習し・・・一般動詞は2学期からといった状況でした。ところが新しい教科書では、1学期にbe動詞や一般動詞どころか助動詞のcanまででてくるといった状況です。これらは小学校の復習といった扱いで一気に学習することになります。文部科学省に「話が違いますけど」とでも言いたくなります。
同様に、小学校では書けることは要求されていないはずの英単語も、600語から700語(小学校の教科書により多少の差がある)をすでに習得したものと扱い、その上に中学校で1600~1800語学習することになります。これまでが、小学校は0で中学校は1200語でしたから、中学校卒業までに学習する単語は1200語⇒2200御〜2500語になります。ほぼ2倍ということになりますが、2倍になることよりも中学入学段階でなぜか600語は習得していることにされてしまっているのが大きな問題です。
・これまでの学習塾の「中学準備講座」では全く対応できない
私はもしかしたら私だけが誤解しているのかも(笑)とこっそり他塾様の「中学準備講座」を調べてみました。その結果ほぼ全ての塾が、アルファベットから始め、be動詞の学習をし、これで1学期は大丈夫というものでした。ただ、これでは上記の新しい教科書に対応できないのはいうまでもありません。
そこで当塾の小学生の英語ですが、これまで小学校の英語を完全無視し、中学の英語を教えてきました。小学生にも文法を教え、単語も書けるように単語テストを実施してまいりました。そのことが結果的にはよかったことにはなります。
・新中3も単語の大幅増加に加え「仮定法」「現在完了進行形」までも学習することに
中学生の新しい指導要領は3学年一気に改訂しますので、新中3の生徒さんは中2まで旧教科書で中3から新教科書(新指導要領)で学習することになります。上記のように英単語の量が新しい教科書では大幅に増加していますが、新中3は突然新しい教科書から単語のレベルがアップすることになります。また、高校英語から「仮定法」と「現在完了進行形」は中3に移行されることになります。これまで、中学英語が簡単すぎで高校になると急に難しくなることが、非常に大きな問題となっていましたので、それを緩和させる方向ですので、高校英語の一部が中学英語にというのはいいとは思いますが、なぜよりによって「仮定法」「現在完了進行形」なのでしょうか?仮定法は現在高校1年生で学習しますが、ほとんどの生徒は理解できていません。また、現在完了進行形も現在完了の継続用法との違いを理解させるためには、状態動詞と動作動詞を理解させる必要があります。両方とも中3生に理解させるのは非常に難しいと思われます。
このように非常に大きな変更となる教科書は、まもなく全国の学校の先生と塾の関係者を驚かせることとなるでしょう。