小学生が塾で勉強する場合、どこの学習塾でも多くは国語と算数になるかと思います。小学生の保護者の皆様は、国語は算数と並ぶ重要な教科ととらえられているようです。ところが中学生になると塾で国語を受講するのは少数派で、ほとんどは英語と数学の受講になります。中学生になったとたん国語の地位が低下するような印象です。

塾では小学生の国語でももちろん客観的な読解方法を指導します。しかし、どちらかと言えば国語としての日本語の運用能力を鍛えているような内容になります。漢字やことわざなどの知識分野と、多くの文章にふれることで表現を習得するというようなことです。これはもちろん非常に重要なことで、多くの語彙や表現を小学生の間に習得するのは、将来において受験のみならず実生活において役立ちます。

ところが、中学生になると学校の中間・期末テストは授業で習った文章から出題されることもあり、暗記すれば解ける暗記科目になってしまいます。もちろん、実力テストや入試では初見の文章を読みとく必要があります。初見の文章を読む訓練をする必要があるのですが、「国語は所詮地頭で決まるので勉強しても無駄。国語はセンスでしょ。」などと言って勉強しなくなります。私はきれいごとは一切言わないようにしておりますので、正直なところで申し上げます。読解力を構成する要素には、

1.論理的思考能力

2.現代日本語の運用能力

3.読解の方法の習得

の三つが必要です。このうち1がいわゆる“地頭”にあたるものです。(最近の研究では訓練によって論理的思考能力は向上するという説もあります)2が小学校の国語の目標としているものになります。ここまで、お読みいただいた方は、「なら中学生になったら読解の練習は意味ないではないか。」とお思われるかもしれません。しかしながら、3があります。読解方法や設問の解法を取得することで国語は確実に成果のでる教科となります。特に、大学受験になれば現代文が必須であることが多いですから、たとえ、1や2がボロボロであっても正しい読解方法を身に着けることで成果を出すことが必要です。ただし、客観的な読解方法の習得には非常に時間がかかることがあり、少なくとも半年は様子を見る必要があります。

また、中学生になると国語を勉強しなくなる理由の一つに、国語は差がつかないことがあると思います。良くできる生徒で80点、苦手な生徒でも40点というテストです。実際には平均点の近くに集中しています。このことが「やってもやらなくても同じ」というように思わせるのでしょう。国語をやっている場合ではないということかもしれません。

私は新卒で大手学習塾に入社して国語の講師として働いていた時に、保護者からも生徒からも国語が軽く扱われることに寂しい思いをしていました。国語も成果がでるのにといつも思っていますが、やむを得ない部分もあるのかもしれません。