先週の金曜日の公立高校の合格発表で今年度の受験はすべて終了しました。今年の当塾生は高校受験、大学受験ともに全員が第一志望以上に合格いたしました。第一志望以上というのは、考えてもいないがもしかしたら合格するかもとチャレンジし合格した場合を含むからです。
塾の仕事に携わって30年で、忘れずに思いだすのは実は生徒のうれしい合格ではありません(東大に合格した生徒さえ名前が出てこない時もあります)、非常に残念な不合格です。生徒が不合格になった場合には、いつも猛烈に反省します。ああすればよかった、こうすればよかったと何度も悔やんで絶対に二度と同じ失敗はしないと誓います。
ですから、合格発表の日に「頑張って指導した努力が報われる日」と喜んでいる塾の先生を心の底から軽蔑しています。あなたは不合格の生徒を一人もだしていないのですか?と思うからです。合格した生徒を祝福するのはいいですが、チラシに33名受験中32名合格と合格率を誇る文言を見たときには、その塾の見識を疑ってしまいます。
ところが、残念ながら不合格になった生徒のその後は、意外なほど立派に成長していることが多いのも事実です。今年度、当塾のオンライン生で札幌の高校生が早稲田大学に合格されました。(現在はオンライン生は募集しておりません。)彼女は高校受験で大失敗したそうで、実力よりもはるかに下の高校に入学したそうです。高校受験の失敗で自らの怠け心と愚かさを本当に反省したそうです。悔しさを忘れることなく、まじめに勉強しておられ北海道の国立大学の小樽商科大学を目指していましたが、夏前になって彼女が通う高校に早稲田大学の指定校推薦が来ました。実力よりも下の高校に入学したこともありますが、不合格で反省し自制心が強くなった彼女の成績は評定平均4.9で学年トップでした。部活もバドミントンを頑張って道内の大会で実績もだしていたようです。校内選考では無敵の状態で合格が決まりました。彼女は高校受験の不合格がなければ早稲田合格はなかったと本当に喜んでいました。ただ、彼女のお父様がおっしゃるには、本当にうれしいのは早稲田合格ではなくお嬢様の成長のようです。
他にも10年以上前の生徒で、高校受験で内申点がほぼ満点で、偏差値も軽く70を超えていたことから油断し、公立トップ高校を不合格になった生徒がいました。併願の私立高校に入学後は人が変わったようにまじめなり、東大に合格した生徒もいました。3年間で不合格になった高校のトップの生徒をも抜き去ったようです。
不合格で自らを反省し、大きく成長する姿を見るのは非常にうれしいことですが、できれば避けたいのはやはり本音です。