ここ数年は大変な中学受験ブームで第3次中学受験ブームと言われています。首都圏や阪神間のように以前から中学受験が盛んな地域はもちろん、超公立王国の大阪府にまで中学受験ブームは及んでいるようです。また、大阪府は私立高校の完全無償化を主張する維新の会の政策の影響で、高校受験においても私立人気が高まり、70校もの公立高校が定員を満たすことができない異常事態となりました。
では、どうしてこれほど私立人気なのでしょうか。まず、以下のの表をご覧ください。旧帝大+一橋大+東工大+神戸大のいわゆる難関大学の合格者を卒業生の数で割った数字です。(浪人生を含む)
1位 灘(私・兵庫) 81.2%
2位 北野(公・大阪) 67.1%
3位 東大寺学園(私・奈良) 65.7%
4位 甲陽学院(私・兵庫) 63.8%
5位 筑波大附属駒場(国・東京) 62.0%
6位 札幌北(公・北海道) 52.4%
7位 札幌南(公・北海道) 51.5%
8位 大阪星光学院(私・大阪) 51.1%
9位 聖光学院(私・神奈川) 50.7%
10位 西大和学園(私・奈良) 49.3%
12位 神戸大附中教(国・兵庫) 48.6%
17位 長田(公・兵庫) 46.2%
25位 白陵(私・兵庫) 41.4%
見ていただいてすぐにお気づきかと思いますが、私立や国立高校ばかりです。2位の北野高校は京大に100名近く合格者を出す公立高校ですが(市立西宮で京大合格者は10名)、大阪府という巨大な都市全体から北野高校と天王寺高校などに優秀な生徒を集結させた結果です。また、有力私立が非常に少ないということもあり、西宮とは事情が全く異なります。
兵庫県に限定すると上位の5校に入る公立高校は長田高校のみです。しかし、中学受験において灘、甲陽に次ぐ難関校の神戸女学院は進学実績を一切非公表としています。内部の関係者より漏れ伝わるところから推察すれば、京大・阪大・神大が圧倒的に多く、医学部志向が非常に強いとのことですから、おそらく実態とすればこのランキングの相当上位に入ってくるのは間違いありません。また、このランキングでは圏外ではありますが、今春の入試において兵庫県最難関大の神戸大と、レベルが下がっているものの私立大では最難関の関学大の合格者数が両方トップになった、須磨学園の存在もあります。
では、このことから私立高校が有利なのか、私立高校に行けばいいのかと言えばそうとも言えないところがあります。それは、難関大学の合格実績のほとんどは中高一貫生のものという高校が多いからです。例えば、奈良県の東大寺学園は東大や京大に合格する生徒のほとんどは一貫生で、高校入学組はどうしても学力面でワンランク下のようです。東大寺学園高校の高校受験の偏差値は73程度ですが、それでも中学受験組のほうが優秀ですし、なんといっても中高一貫教育を受ける優位性は大きいと思います。一貫生と高校入学生の大学合格実績を分けて公表する高校が少ないのは不都合だからです。