今春、新しく高校生になった生徒にとっては、早くも高校最初の中間テストが近づいてまいりました。(一部の高校は中間テストはないようです。)今回のテストは実は非常に重要で、場合によっては3年間の成績を決定することもあります。高校入学直後の生徒の学力は、同じ高校であれば非常に接近しているのが普通です。ところが入学してわずか1か月半後の成績では大きな差がでてきます。データ的には1学期中間テストの成績が3年間続いていることが多いようです

1つ目の理由は、学力・能力的に近い生徒の母集団ですのでその中で成績を上げるのが難しいという点です。2つ目の理由は気分的なものです。1学期中間テストの成績が良ければ、「自分が実は上位で合格していたのか、このまま成績を落とさずに頑張ろう。」と考えますが、1学期の中間テストが悪ければ「やはりぎりぎりで合格したか、まあ仕方ないか。」となってしまいます。

というわけで、入学後最初のテストは頑張っていただきたいのですが、上記の理由以外に1学期の中間テストが大事な理由があります。現在、大学入試が非常に競争緩和されていることはご存じかと思います。ただ、現在の受験は私立大学では主流が推薦入試です。国公立でも3割近くは推薦入試です。つまり、保護者の皆様の世代の受験とは状況が違うといえるでしょう。

また、保護者の皆様の中には推薦といえば指定校推薦のことだとお考えの方も多いかと思います。推薦入試には、大きく以下のように分類されます。

1.学校推薦型選抜の指定校推薦(附属校や協定校からの推薦を含む)

2.学校推薦型選抜の公募推薦

3.総合型選抜

1の指定校推薦は大学が過去に合格実績のある高校を指定する制度です。ですから、進学校や古くからある名門校、特に女子校は指定校推薦の枠が非常に多い傾向があります。ただ、大学が高校に要求する学習成績の状況(旧評定平均)は中堅大学でも非常に高いのが普通で、関関同立であれば4.0以上は必要でしょう。つまり、まじめな生徒がこの入試にフィットするということです。

2の公募推薦は一般に産近甲龍や関西外大など中堅以下の大学で行われており(国公立大や上智大や同志社大もやっていますが出願条件などが厳しく別物とお考え下さい)、出願に際して評定平均の基準もないことが多く、推薦とは名ばかりで、ほとんどは2教科以下の学力テストで合否を判定するものです。また、一般入試より入試科目も少なく(関西外大などは英語のみ)受験生のレベルも低くなります。関関同立を受験する生徒には、必ず公募でどこか滑り止めを確保するように指導することが多くなります。

3の総合型選抜は以前はAO入試と呼ばれていたもので、学力以外の部分を評価する入試です。私立大は評定も不要であることも多いですが、国公立大はかなりの高い評定平均値を要求することも多いようです。この選抜は、難易度の高い検定(英検準1以上など)に合格している生徒や、部活や芸能・文化活動で実績のある生徒、留学経験がある生徒、大学での学びにつながる探究活動を継続して行ってきた生徒、ボランティア活動を継続して行ってきた生徒、小論文やプレゼンが非常に得意な生徒が有利になります。

つまり、1学期の中間テストは皆さんの受験における方向性が決まるという面があり、非常に重要というわけです。例えば、公立トップ校の生徒さんは学校の成績で上位になるのは、なかなか難しいと思います。また、学校の成績をとらずとも一般入試で関関同立に合格することは可能でしょう。実際、公立トップ校の生徒で推薦入試を利用する生徒は公募推薦で滑り止めを確保する以外はあまりいないようです。

一方で、第1志望校には合格できず不本意入学している生徒さんは実はチャンスです。不本意入学した高校では上位になるでしょうから、学習成績の状況(旧評定平均)をしっかり稼いでいけば、上記の1や3で上位の大学に合格するチャンスがでてくるでしょう。

また、学校の成績が良くなく、英検準1級以上や部活の実績も出せそうになく、探究活動やボランティアもしない予定の生徒(何もない生徒)はどうすればいいかご説明します。その場合も実は学習を進めやすいと思います。というのは、上記の1や3のうち評定平均が必要となる入試は受験できなくなるので、一般入試、公募推薦、総合型選抜で評定が不要の入試のみが対象となります。つまり、学力をつけることだけを考えればよいということになります。高校の成績がどうでもいい(言い方が悪いですがお許し下さい)わけですから、受験に必要のない科目はほどほどの勉強で単位が取れる程度にとどめておき、受験に必要な科目のみ頑張ればいいということになります。必然的に受験勉強に充てる時間も多くなり、自称進学校に通っている場合など特に多い”わけのわからない課題”に悩まされることもなくなると思います。

しかし実際はこのように単純に区別できるものではなく、生徒さんごとに得意な分野を活かして受験することになります。たとえば、学校の成績最悪で部活・ボランティアなし、英語以外は全くできないという状況でも、色々な入試方法から探せば難関大学に合格するチャンスもでてくるでしょう。実際に私は、過去30年の指導のなかで、どのような生徒でも(ヤンキーでも偏差値30でも)、Fラン大学(偏差値が低くすぎで算出できない)に進学させたことは1名たりともいませんし、卒塾生の約7割は国公立か関関同立に合格させています。必ずしも学力が必要とはされないという点で、高校入試より何とかなりやすい面もあります。